明日は、いよいよ旅立ちの日。
ママに「時差があるから早くねなさい」と言われて、
一度ベッドに入ったけれど、
遠足の前の日みたいに、なかなかねむれません。

パリって、どんな街なのかな？
どんな人がいて、どんなおしゃべりをするのかな？
どんなごはんを食べて、どんなベッドでねむるのかな？
楽しみな私もいるけれど、心細い私もいます。

パリで、おじいちゃんとおばあちゃんに会えるのは、
とってもうれしいです。
でも、ひとりで行くのは、ちょっとこわいです。

頭のなかで、ドキドキとワクワクがぐるぐるしています。
もう、ねむらなきゃいけません。
どうか、ねむれますように。
おやすみなさい。

花の都とよばれるパリは、フランスという国にあります。
地図ではかってみたら、親指と小指をひろげても届かない、
遠い、遠い国でした。
おじいちゃんとおばあちゃんが住むこの国へ、
私は、1週間後に旅立つのです。

今日、パリのガイドブックを見てみました。
あわい水色の空。
その下に、ピンとそびえたつエッフェル塔。
石だたみの通り。
がいせん門。
大きくゆったりしたセーヌ川には、船。
川ぞいには、小さな屋台の古本屋さんがたくさんあるみたい。
ブキニスト、というそうです。

石づくりの建物も、すてきです。
きれいなブルーのペンキでぬられた扉や窓は、
葉っぱや木のつるをかたちどった
きれいな鉄の細工でかざりつけてありました。
何百年も前の建物にも、ちゃんと今も人が住んでいるんだって。
どんな人が住んでいるのかな。

ページをめくるごとにでてくるパリの風景は、
日本とはまったくちがっていて、
想像がムクムクとひろがっていきます。
想像といっしょに、
勇気もムクムクとふくらんできたような気がします。

はじめまして。
香山リカです。
今日からブログをはじめました。

突然ですが、私、
4月14日にパリへ旅立つことになりました。
自分でも、ちょっとびっくりしています。
昨日、ママに「リカは、どんな人になりたい？」と聞かれました。
私はすぐに答えることができなくて、
「ママみたいな、すてきなレディーになりたい」と言ったら、
リカの名前が書かれたパスポートとチケットを差し出して、
「いろんな人に会って、いろんなことを見て、いろんな体験をしなさい。
そうしたら、リカのなりたいレディーになれるわ」。
そう言いました。
ママも私と同じくらいのとしで、外国へひとり旅をしたそうです。

今、私の前には、
ママからわたされたパスポートとチケット、
パリのガイドブックとデジカメがあります。

4月14日まで、もうすぐ。
本当にひとりでパリへ行けるのかしら。