「 | クリスマスの奇跡!」 |
「 | サンタさん・・・・・・?」 |
「 | ここは、森と湖の国。」 |
「 | 初ライブは大成功!」 |
「 | わたしのそら。」 |
パリの夕日が、白い街並みにしずんでいきます。
遠くのエッフェル塔も手をのばして、
私にさよならをしてくれているみたい。
今日で、おじいちゃん、おばあちゃんともお別れ。
これから私は、ひとりでミラノへ旅立ちます。
「次は、いつ会えるの?」と聞いたら、
「リカちゃんが会いたいと思ったら、いつでも」
と、おばあちゃんはほほえんでくれました。
おじいちゃんも「リカちゃんが帰ってくるまで、
赤いソファーはあけておくからね」と言ってくれました。
涙をこらえていると、
「今しか流せない涙があるんだから、たくさん泣いていいのよ」
と、おばあちゃんがだきしめてくれました。
こらえていた涙が、あふれてきます。
ほのかな香水と甘いパンの香りがまじった、おばあちゃんのにおい。
「すてきなレディーになるために、たくさん泣いたり笑ったりしなさい」。
おじいちゃん、おばあちゃん。
ありがとう。
パリで、私は、少しだけおとなになれたような気がします。
私、きっと、すてきなレディーになるからね。
みて!みて! お姫様みたいでしょ?
このプリンセスカールが気に入っています。
今日、デビュタント・パーティーにいっしょに出席するマリアちゃんが、
私のためにヘアアレンジをしてくれたのです。
華やかなシャンデリアにやわらかな光がともり、
オーケストラの生演奏による音楽がかなでられると、
そこは夢にまでみた舞踏会(ぶとうかい)。
マリアちゃんとドキドキしながら並んでいると、
私たちの前にふたりの王子様みたいな男の子があらわれて、
ダンスにさそってくれました。
すいこまれそうな深く青い瞳に、サラサラの金色の髪。
大きな手は、やさしく私の手をつつみ、
私がステップをまちがえても、ちゃんとリードしてくれます。
曲がワルツに変わると、
王子様が「またお会いできますか?」と耳うちしてくれました。
パリがくれた、夢のような時間。 あこがれの社交界デビューと、名前も聞けなかった王子様。 私は、あの王子様に、 またお会いできる日がくるのでしょうか。 |
今日はビッグニュースがあります。
私、社交界にデビューするのです!
デビュタントとは、社交界にデビューするおじょうさんのこと。
そのおじょうさんのおひろめパーティーを、
デビュタント・パーティーというそうです。
そしていよいよ明日、私は
デビュタント・パーティーに出席するのです。
まっ白なドレスを着て、すてきな王子様と踊るの。
なんだか夢みたいです。
実は、パリに来てから毎日、社交界デビューに向けて
正式なマナーとドレスの着こなし方、エレガントな身のこなし、
それからダンスのレッスンをがんばってきました。
今日は、おばあちゃんと最後のダンスレッスンです。
練習曲のダンスのリズムに合わせて踊っていると、
おばあちゃんに「元気がよすぎるわねぇ」と笑われちゃった。
三びょうしのワルツは、なかなかステップがむずかしい……。
明日着るドレスのことを考えていたら、
「集中しなさい!」としかられました。
だって、とっても楽しみなんだもの……。
でも最後には、
おばあちゃんに「トレビアン!すばらしい!」とほめられました。
明日は、どんなヘアスタイルで出かけようかなぁ。
そんなことを考えていたら、あーもう!ねむれそうもありません!
ここパリでは、セーヌ川を境に、
北を右岸(うがん)、南を左岸(さがん)といいます。
ここサンジェルマン・デ・プレは、左岸でいちばん有名な場所。
朝早く目が覚めた日には、
サンジェルマン・デ・プレ教会の向かいにある
ドゥ・マゴというカフェへ向かいます。
ここは、詩人のランボー、画家のピカソ、
作家のヘミングウェイなどの芸術家たちに愛され、
1世紀以上にわたって
パリの人々に親しまれつづけてきたそうです。
パンにバターとジャムをぬり重ねたタルティーヌと
カフェ・オレでゆっくり朝食をとってから、
カフェのまわりの小道をジグザグにお散歩。
そしたらね、
おばあちゃんの家のカーテンのもようとおなじ、
マロニエのお花を見つけちゃった!
リカが描いたマロニエのお花の絵。
たとえどんなお天気でも、
マレ地区をお散歩するのが、私のお気に入り。
あれ?こんなお店あったっけ?という意外なショップに出会えたり、
デザイナーが自分の作品を売っていたりと、
行くたびに、新しい発見があるからふしぎです。
パリではめずらしく日曜日もオープンしているお店が多いんですよ。
4区のフラン・ブルジョワ通りの周辺は、
今ではパリ中から人が集まるショッピングエリア。
かわいいお洋服や雑貨をそろえた小さなショップが並んでいます。
気になるお店をみつけたら、扉をあけて「ボンジュール!」とごあいさつ。
みんなフレンドリーに、笑顔でむかえてくれます。
この通りを東にまっすぐ向かって歩くと、
古い歴史をもつヴォージュ広場に着きます。
ふんすいやしばふが美しく、とてもリラックスできる場所。
お天気がいい日は、サンドイッチを食べながら読書をするの。
さらに北にある3区のヴィエイユ・デュ・タンプル通りには、
石けん専門店や家具のお店、こぢんまりしたギャラリー、
おしゃれなカフェがいっぱい。
近くに住むおしゃれな人たちがコーヒーやお酒を一杯飲みながら
おしゃべりする社交場になっているんだって。
私が行ったラ・ペルルというカフェは、
そんなおしゃれなマレ地区の中でも、いちばん人気があるそうよ。
とくに夜おそい時間から盛りあがるみたいだけど、
リカは子どもだからねている時間です……。
パリの雨はとってもふしぎです。
お天気予報が雨のマークでも、
一日のどこかで晴れ間がのぞきます。
一日中降りつづけようとする日本の雨とちがって、
パリの雨って、とても気まぐれなんです。
今日の予報は、雨でした。
朝、家を出たときには晴れ間が見えていたけれど、
石だたみの途中で、雨に降られてしまいました。
散歩中のワンちゃんも、急に降りだした雨にびっくりしたのか、
ブルッと毛をふるわせて、雨水をはらっています。
私はお気に入りのレインコートに、
水玉もようのカサをひらいて、お散歩をつづけました。
雨の石だたみは、しっとりぬれて、とってもきれい。
日本のアスファルトとちがって、
石だたみに落ちる雨の音は、音楽のように聞こえます。
遠くにかすむエッフェル塔も、雨のもやの中。
パリの景色すべてが、いったんお休みをしているみたい。
その後、雨はすぐにあがって、カサでのお散歩もおしまいです。 そのかわり、雨あがりのとうめいな空気が、 パリの美しい景色を見せてくれました。 |
今日は、おじいちゃんとおばあちゃんとパラスホテルに宿泊です。
パリでは伝統と格式のあるホテルのことを
パラスホテルというんですって。
お城のようなホテルのロビーで、
すてきなマドモアゼル(おじょうさん)に出会いました。
すれちがった時は、本当にびっくりしました。
だって、彼女みたいにきれいな人を
私は見たことがなかったのです。
たとえば、歩き方は風がゆっくり流れるようだし、
おじぎの仕方も目の動きも、とってもエレガント。
おもいきって話しかけてみたら、
名前はマリアといって、私より2つ年上のおねえさんでした。
彼女はおしとやかで、品があって、とってもやさしい声の持ち主。
そう、品があって……。
あ、そういえば、おばあちゃんが
「本物のレディーは品格があるものよ」と言ってました。
それって、マリアちゃんみたいなことなんですね!
マリアちゃんって、本物のプリンセスみたい!
マリアちゃんみたいなすてきなレディーになりたいな。
パリに来て、すてきなお友達ができてよかった! これからもよろしくね、マリアちゃん! |
今日、おばあちゃんに連れて行ってもらった
すてきなレストランで、大失敗をしてしまいました……。
席につくと、まわりはエレガントなマダムとムッシューばかり。
ちょっときんちょうしたけど、
ママにならったテーブルマナーを、さっそくトライ!
並べられたフォークやナイフを外側から使って。
スープは音をたてずに、口に流し込むように。
メインディッシュは、一口大に切り分けながら。
ここまでは、おばあちゃんに「上手ね」ってほめられたの。
それなのに、それなのに、
デザートの大きなミル・フォイユ(ミルフィーユ)を切ろうとしたら……
あーーーーっ!!
べしゃ!
……床に落としてしまいました。
楽しみにしていたミル・フォイユだったのに。
せっかくエレガントにふるまえていたのに。
つぶれたミル・フォイユを見ていたら、ちょっと涙がでてしまいました。
おばあちゃんはナプキンを差し出しながら、
「大きなデザートは、たおして食べてもいいのよ」と教えてくれました。
新しいミル・フォイユを運んできてくれたギャルソンさんも
ちょっと笑ってたみたい。かなしいなぁ。
次までに、テーブルマナーをきちんとマスターします!
〈フレンチレストラン教室〉
・ギャルソン → フランス料理のウエイターさん
・ソムリエ → ワインの専門家
・パティシエ → デザートをつくる職人さん
・星付きレストランとは……
フランスのレストランは、料理の評価を星の数で表します。
最高は、三つ星レストラン。2006年に三つ星レストランと評価されたのは、
フランス国内でわずか26店。二つ星は70店、一つ星は425店。
星がついているだけで、すごいレストランなのです。
毎年発行される「ミシュランガイド」という本が、
ひみつで調べて、発表しているんですって。
ちなみに、リカが行ったレストランは二つ星。すごくおいしかったです!
曲がり角の多い急な石だたみの坂道をぬけると、
空が急にひらけて、モンマルトルの丘に着きます。
一歩道をそれて、せまい小道に入り込むと、
まるでタイムスリップしたみたい。
かつて、ピカソやモディリアーニといったアーティストたちが
たくさん住んでいたんですって。
今でもテルトル広場には、たくさんの芸術家たちが
集まっているそうよ。
私がモンマルトルの丘に着いた時は、
ちょうど夕暮れの頃。
あいにくのくもり空できれいな夕日は見られなかったけれど、
あたたかい色のランプが次々と街にともっていくのがわかりました。
おじいちゃんとおばあちゃんのおうちのランプも見えたらいいのにな。
おうちに帰ってみると、
今日の晩ごはんは、おばあちゃんの得意料理ポトフでした。
モンマルトルの丘で、ちょっと冷えたカラダにはうれしかった。
次に行く時は、おじいちゃんとおばあちゃんといっしょに
夕日が見てみたいな。そう思いました。
ちょっぴり急な階段をのぼりました。
ここパリでは、
どのアパルトマン(アパート)の窓辺にも、きれいなお花がかざられています。
パリの人たちは、毎日、
お花といっしょに暮らしているなんて、すてきです。
私は今日、早起きして、
シテ島の花市に出かけてみました。
シテ島へは、パリの市庁舎から
セーヌにかかる橋をわたるとすぐです。
パリの人たちは、毎日パンを買うように、
自然にお花を買っていきます。
仲のよさそうな恋人たちが買っていったのは、
「シャルル・ドゥ・ゴール」という名前のブルーローズ。
私もまねして、小さなバラの花束を買いました。
紫色に見えるけど、シャルル・ドゥ・ゴールという青いバラ。
私がいっしょに写っているバラは、
フランス生まれの「ピエール・ドゥ・ロンサール」。
あわいグリーンの花びらに、まん中は、ほんのりピンク色。
16世紀フランスの“バラの詩人”から名づけられたんですって。
ピエールって……、あ、パパとおなじ名前だわ!
リカの買った、ピエール・ドゥ・ロンサールというバラ。
今、リカのお部屋には、バラがおすまししながら窓辺にいます。
5月の風にひらひらゆれていて、小さなバレリーナみたい。
パリでは、お花もフランス人なのね!
5月の太陽にてらされて、
パリの街はキラキラとかがやきはじめました。
サマータイムがはじまって1ヵ月。
パリジェンヌたちはヴァカンスの計画に夢中のようです。
サマータイムは、国中ぜんぶが
時計の針を1時間早くすること。
ふしぎだけど、太陽が出ている時間が長いから、
おとなも子どももゆったり過ごせるのね。
さて、今日はメトロに乗って、パリの街を大冒険。
写真はなんと、地下鉄の入り口です。
パリのメトロを示す柱や入り口は、とってもすてき。
植物のツタのようななだらかな曲線を描く
アールヌーヴォー調のかざりが多く、
作られた時代ごとにデザインがちがうんですって!
街並みにとけ込んでいて、それは本当に美しくみえます。
写真は、伝説の建築家エクトール・ギマールという人の作品。
モンマルトルの玄関口「アベス駅」が、
パリでいちばんすてきな気がして、私は大好きです。
〈フランスのプチ情報〉
○ヴァカンス……フランス流の夏休み。6月には、街中がソワソワします。
およそ1ヵ月のあいだ、必ずどこかに出かけて、長期滞在するのが習慣です。
フランスでは、「今年のヴァカンスはどこへ?」がごあいさつ。
聞かれたら、「あなたは?」と聞きかえして、
相手のじまん話を聞いてあげるのが礼儀なんだって。
○メトロ……パリの地下鉄。1号線から14号線まで、14の路線があるのよ。
○アール・ヌーヴォー……19世紀末ヨーロッパの曲線や植物のもようを取り入れたデザイン。
今日の写真、ふしぎでしょう?
だって、パリにいるのに、桜の花といっしょにとったんですよ!
今日はちょっと遠出して、地下鉄のメトロ1号線の終点、
パリの東のはしにあるヴァンセンヌの森までお出かけ。
緑のしばふが広がる、気持ちいい公園です。
パリに来て、散歩が大好きになってしまった私が
てくてく歩いていてみつけたのが、なんとこの桜なのでした。
パリにも桜が咲くなんて、知らなかった!
なんだか、小さな頃から知っているお友達に
ひさしぶりに会ったような気分で、うれしくなりました。
それにしても、桜を見ているだけで心が安まるなんて、
私はやっぱり日本人なのね。
帰ってからおばあちゃんに話したら、
ここパリにはほかにも桜が咲くところがあるんですって。
リュクサンブール公園にはピンクの桜。
それからサンジェルマン・デ・プレ教会にも
白い桜が咲くらしいと聞きました。
パリ流にお花見をするなら、
サンドイッチとワインになるのかな。
(リカは子どもだから、ぶどうジュースにしようっと)
ヴァンセンヌの森に広がるしばふにて。
パリに来て、2週間がたちました。
私が出会ったフランスの女性は、
みんな自分にあった香りをつけていました。
おばあちゃんに聞いたら、
「フランスでは自分の香りをもたない女性はいないのよ」
と教えてくれたのです。
そこで私は、サンジェルマン大通りにある
「ディプティック」を訪ねました。
ここはフレグランス(香水)のお店です。
店員のおねえさんは、きれいな金色の髪をキリッとひとつにまとめ、
品のいい白いシャツと黒のタイトスカートを
かっこよく着こなしていました。
そして、ゴージャスでおとなっぽい香りをまとっています。
その香りは、おねえさんにとてもよく似合っていました。
私はおねえさんのアドバイスにしたがって、
いちばん好きな香りを探しました。
香りの名前にとらわれないで、
においに集中します。
私がえらんだのはミュゲという香り。
野に咲くスズランのさわやかな香りがしてきます。
フランスでは、5月1日のミュゲ・デー(スズランの日)に、
親しい人にミュゲの花を1輪おくって幸福をいのるのよ、
と教えてくれました。
帰ってからもずっと、幸福につつまれています。
今日は、パリのおしゃれについて。
パリというと、モードの街とよく聞きます。
だけど、流行のブランドの服で全身かためている人はほとんどいません。
自分の好きなものを、好きなように着ているのです。
それがまた、かっこいいの。
パリジェンヌたちに話を聞いてみると、
おばあちゃんのおさがりのスカートや、
ママの昔の服からみつけたフリルのシャツなど
古着を上手に取り入れて着こなしていました。
でも、パリでいちばんのおしゃれさんは、おばあさんかな。
さりげなく身につけているアクセサリーの細工や、
バッグやクツのデザインのすてきなこと!
流行に左右されすぎず、今の自分に似合う服を
きちんと知っていて、おしゃれを楽しむこと。
パリジェンヌたちのファッションは、
ほんとのおしゃれを教えてくれます。
私も、がんばらなきゃ。
ルーヴル美術館の目の前にあるパレ・ロワイヤル。
私の後ろにあるのは、貴族の館を改造した商店街なのです。
建物に四角くかこまれた庭には、
現代アートがぽつぽつあって、パリの人たちの
いこいの場になっています。
そう、ここが私のお気に入りの場所なのです。
庭の南側、まっ先に目に飛びこんでくるのが、
白黒たてじまのまあるい柱たち。
ダニエル・ビュランという人のアート作品だそうです。
おとなも子どもみたいにのぼったり、座ったりしていました。
私もここに腰かけて、のんびり人をながめていると、
なんだかパリの人になった気がするのです。
庭を取りかこむ建物には、小さなお店が並んでいます。
人気のカフェやレストラン、アートギャラリー、
最先端のショップなど、ほんとにいろいろ。
その中に、古い切手のお店、ブリキのおもちゃのお店、
黒のドレスばかりかざってある女主人のお店など、
お客さんがひとりも来ない日がありそうなお店もあったり。
なんともふしぎな空間です。
なんのお店かな?と、ウインドーを見ながらお散歩するのも、
クイズみたいで楽しいのです。
商店街の前でも写真をとりました。
ボンジュール!
晴れわたった空がきれいだったので、
今日はエッフェル塔までお出かけです。
近くで見るエッフェル塔は、チョコレートできたお菓子みたい。
エッフェル塔は「鉄の貴婦人(きふじん)」とも呼ばれ、
パリの人にとても愛されています。
シャン・ドゥ・マルス公園内の広いしばふを歩いていたら、
結婚式をあげているカップルに出会いました。
お姫様だっこをされた花よめさんのウェディングドレスが、
春のやわらかな風にゆれています。
ふたりはみんなに祝福されて、とってもしあわせそう。
お空にのびているエッフェル塔も、ふたりを祝福しているようです。
見ている私まで、やさしい気持ちになりました。
帰り道、ふたりの乗る
大きなリボンがかけられた車を見かけました。
そうしたら、まわりの車がブーッブーッ、と
クラクションを鳴らしはじめたんです。
帰ってからおばあちゃんに話したら、
「みんなが花むこさんと花よめさんを祝福しているのよ」
と教えてくれたの。
パリのすてきなところを、またひとつみつけた気がしました。
オペラ座のバレエを見に行った時に友達になった女の子にさそわれて、
今日はバレエスクールの見学に行ってきました。
アン、ドゥ、トロワ。
アン、ドゥ、トロワ。
フランス語で「いち、に、さん」のかけ声にあわせて、
バレエのレッスンをする女の子たち。
おとなっぽくみえるけど、みんな私ととしがちかいんですよ。
休み時間、みんなの足を見せてもらって、びっくり……。
マメだらけのごつごつした足!
ゆうがな動きからは想像もつきません。
「いたくないの?」と聞いたら、
「ノン(いいえ)!エトワールになれるなら平気!」と笑っていました。
バレエでは、トップダンサーをエトワールというそうです。
帰り道、エトワールをめざす女の子たちのあこがれの舞台、
オペラ座を通りかかりました。
みんな、将来の夢を追いかけて、がんばっているのね。
私の夢って、なんだろう?
この旅で、みつけられたらいいな。
オペラ座の前で。
今日は午後から、シテ島が見わたせるトゥールネル橋へ、
絵を描きに出かけました。
天気は、晴れたり、くもったり。
でも、おかげで、パリのいろんな表情を見られた気がします。
絵を描きながら見つめたパリの空と街とセーヌ川は、
少しだけおすまししているようです。
時々、ゆっくり流れていく遊覧船からは
どんな風景が見えるんだろう。
少しずつ見なれてきた街並みも、
こうして絵に描くと、いろいろと気づかされます。
夕焼けにてらされて、色をかえていく寺院。
日本では見上げていた空も、とっても近く感じるんです。
街をながめながら、明日はどこに行こう、なにをしよう、
と考えるとワクワクします。
絵には、これまでとこれからのパリの思い出を
ぜんぶ、描けたらいいな。
この街に来て本当によかった、という思いを込めて。
リカが描いたセーヌ川の風景。写真とおなじ絵だよ。
かつての王宮ルーヴルがある1区を中心に、
カタツムリのカラのように右まわりに番号がふられているパリの20区。
ここ3区と4区にひろがるマレ地区は、
若手クリエーターのアトリエやショップが集まる流行発信地でありながら、
歴史的な建物や昔ながらの商店街がのこる、おもしろい地区です。
マレ地区の北にあるこのあたりは、
今パリでいちばんおしゃれで暮らしやすいカルチェ(地区)。
おしゃれな洋服屋さんやカフェがぽつぽつとあったり、
昔ながらの石づくりのアパルトマン(アパート)やこっとう品屋があったり、
新しさと古さがまじりあった独特の空気がただよっています。
行きかう人もファッション関係者やクリエーターが多いようです。
私がいちばん楽しみにしていたのが、
小さなギャラリーと美術館めぐり。
マレ地区だけで30をこえるギャラリーがひしめきあっています。
ヴィエイユ・デュ・タンプル通りのギャラリーでは、
コンテンポラリーアート(現代美術)を見ました。
とにかく発想がユニーク!
写真は、サン・クロード通りにある個性的なギャラリーでの1枚。
リカも絵になってるでしょ?
また、エリア内にあるピカソ美術館は、
何度も足を運びたくなるミュゼ。
ここに来て、私はピカソが大好きになりました。
4区には、近代美術がたくさんのポンピドゥー・センターもあるし、
アート好きには最高の街ね!
〈今日のフランス語講座〉
カルチェ → 地区
アパルトマン → アパート
ミュゼ → 美術館
マルシェでお買い物というと、ちょっとすてきなひびきがしませんか。
マルシェは、フランス語で市場のこと。
想像しただけで、ドキドキ、ワクワクします。
今日はマレ地区の北にある、
パリでもっとも古いアンファン・ルージュのマルシェへ行きました。
朝早いと人が少なくて、空気もすきとおっているみたい。
パリのマルシェは、屋根つきの建物にお店が集まったものや、
広場や歩道にできる朝市などがあるそうです。
7時くらいにはもうお店がはじまり、
カートを引いたおばあさんやマルシェかごをさげたマダムたちが、
どこからともなく集まってきました。
八百屋のおにいさんは、やっぱりどの国でも元気がいいのね!
チーズ屋さんで、どれにしようか迷っていたら、
ムッシューがイライラしはじめたみたい。
だって、見たことのないチーズがたくさんあって、
決められないんだもん!
〈市場では、いっぱいフランス語を覚えちゃいました!〉
・八百屋さんはプリムール ・魚屋さんはポワソンヌリー
・肉屋さんはブージュリー ・チーズ屋さんはフロマージュリー
・花屋さんはフルリスト ・手芸屋さんはメルスリー
〈さらに、人の呼び方も!〉
・おくさんはマダム ・おじさんはムッシュー
・おじょうさんはマドモアゼル
今日はルーヴル美術館へ、
世界でいちばん有名な美女「モナリザ」に会いに行ってきました。
ここパリで、モナリザは「ジョコンダ」と呼ばれているそうです。
ジョコンダのまわりには、たくさんの人だかり。
やっと出会えたジョコンダは、ガラスケースの中にいました。
本当にこの絵が世界でいちばん有名なの?と思うほど、
それはそれは小さな絵でした。
でも、しばらく見つめていると、
その絵の中には、私が住んでいる世界とおなじくらいの世界が
広がっていくようです。
今にも、そのやわらかな手が動きそうで、
ふくらんだ胸が深く呼吸をはじめそうで、
絵に引き込まれていくことがわかりました。
ガラスケースの中のジョコンダに、
小さく「ねえ、ジョコンダ」と、話しかけてみました。
一瞬、ジョコンダの口元が少しだけ開いたような、
その黒い大きな瞳が動いたような気がしました。
まるで生きているような、とてもふしぎな絵。
世界でいちばん有名な美女は、
世界でいちばんミステリアスな美女だと思いました。
リカが描いたジョコンダの絵。
パティスリー(ケーキ屋さん)に一歩入ると、
ヘンゼルとグレーテルのお菓子のおうちに
迷い込んだように胸がおどります!
店内は、クリームの甘いにおいとカカオのこうばしい香りが入りまじった、
とってもシアワセな香りがただよっています。
パリのお菓子はとっても甘くて、
そして食べちゃうのがもったいないくらい、とってもきれい。
私はショーケースとにらめっこしながら、
おじいちゃんとおばあちゃんと自分のケーキをえらびました。
<今日えらんだケーキ>
おじいちゃん → サヴァラン
ラムシロップがしみ込んだおとなの味だから。
おばあちゃん → ミル・フォイユ(ミルフィーユ)
※とろりとのぞいたカスタードクリームがおいしそうだったから。
リカ → チョコレート味のエクレール(エクレア)
つやつやのピアノ色したチョコレートケーキ
まっ赤なフランボワーズのタルトまるごと
※3つも買いました。
大きなフランボワーズのタルト。
ミル・フォイユ。
チョコレートケーキ。
エクレールは黒いのがチョコレート味、モカ色がコーヒー味。 |
パリに来て、朝が好きになりました。
だって、とってもいいにおいなんだもの。
パリの朝、それは、パンのにおいではじまるのです。
毎日の食事にパンはかかせないから、ここパリには
たくさんのパン屋さんがあります。
今朝は、パン屋さんへおつかいに行きました。
開店と同時に、長い行列ができていて、びっくり。
ドキドキしながら、常連さんたちの列に並びました。
おばあちゃんから教えてもらったフランス語をぶつぶつとおさらいしていると、
私の順番がきました。
お店のおばさん「セ・タ・キ?(次の方?)」
リカ「セ・タ・モワ!(私です)
ユンヌ・バゲット・シル・ヴー・プレ!(バゲットを1本ください)」
伝わったみたい!ちゃんとバゲットを買えました!よかった!
フランスでいちばん食べられているバゲットは、
長さ70 センチくらいの棒みたいなパン。
かぶりつくと、かたい皮がパリパリと音をたてて、おいしいの。
しかも、1本70セント(1ユーロ以下)だなんて!
この国で「ブーランジュリー(パン屋)」の看板を出せるのは、
その店できちんと焼いているところだけと法律で決まっているそうです。
だから、焼きたてでおいしいパンなんだね。
明日の朝も買いに行こう。
メルシー、マダム! おばさん、ありがとう!
今日は、おばあちゃんにわたされたユーロというお金を持って、
歩いて2、3分のところにあるスーパーへおつかいに行ってきました。
にぎやかな棚を見ていると、ついつい手がのびちゃいそう。
でも、今日はがまんがまん。
ぐるぐる歩きまわってから、おじいちゃんの歯ブラシを
レジに持っていくと、動くレールがありました!
まわりを見ると、自分の買うものをカゴから出して、
そこに置いています。私もマネして置いてみました。
お値段は、4ユーロと45セント。
フランス語が聞きとれなくてこまっていたら、
おねえさんは紙に数字を書いてくれました。
数字は、どの国でもいっしょなのね。
ようやく10ユーロのお札をわたして、
5ユーロと55セントのおつりを受け取りました。
お会計がすんで、品物がわたされるのを待っていたら、
おじいちゃんの歯ブラシは、動くレールにのせられたまま。
おねえさんはあわてて袋に入れてくれたけど、
私にいじわるしたの……?
家に帰っておばあちゃんに聞いたら、
私が動くレールの先で待っていて、
自分で袋に品物をつめなきゃいけなかったんだって。
おねえさん、ありがとう!
〈今日はヨーロッパのお金を勉強しました!〉
・ヨーロッパのお金は、ユーロといいます。
・100セントで1ユーロになります。
・ユーロを使っているのは13カ国。国によってコインの絵がちがいます。
「これから行くのは、おじいちゃんとおばあちゃんの
とっておきの場所よ」。
おばあちゃんがウインクして連れて行ってくれたのは、
セーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋。
パリでいちばん美しいといわれている橋だそうです。
ずらりと並んだランプは、
まるでおとぎの世界から飛び出した、お城のランプのよう。
急に無口になったおじいちゃんの顔をのぞくと、
ちょっとほっぺたが赤いことに気づきました。
「どうしたの?」って聞いたら、
おばあちゃんが、
「ここはおじいちゃんがおばあちゃんにプロポーズしてくれた場所なのよ」
と、こっそり教えてくれました。
しかも、その時、おばあちゃんが着ていたのは、
私とおなじ赤いコートだったそうです。
プロポーズのことばをたずねてみると、
おばあちゃんは「ナイショ」と言って、もう一回、ウインク。
ふたりだけのヒミツなんて、すてきね!
ふりかえると、
赤いコートを着た若いおばあちゃんと
テレている若いおじいちゃんが見えた気がしました。
パリに着きました。
アルベールおじいちゃんとエレーヌおばあちゃんに会うのは、
とってもひさしぶりです。
ふたりが暮らすおうちのリビングには、
大きな白いソファーとひとりがけの赤いソファーがあります。
白いソファーは、おじいちゃんとおばあちゃんの特等席。
ふたり並んでお茶をしたり、本を読んだりするそうです。
赤いソファーは、子どものころのパパの席。
ひじかけにのこる茶色のシミは、
パパが昔こぼしたジャムのシミなんだって。
今日から、この赤いソファーが私の特等席になりました。
「リカちゃん、日本からここまでよくひとりで来れたわね」。
赤いソファーに座りながら、
おじいちゃんとおばあちゃんが呼んでくれる
“リカちゃん”というやさしいひびきに、ちょっぴり涙がでました。
だって、パリにも私の席があって、
やさしい家族がいるって思えたんだもん。
おじいちゃん、おばあちゃん、
昨日までの不安は、ふきとんじゃいました。ありがとう。
これから、私、すてきなレディーになるためにがんばります。