「 | クリスマスの奇跡!」 |
「 | サンタさん・・・・・・?」 |
「 | ここは、森と湖の国。」 |
「 | 初ライブは大成功!」 |
「 | わたしのそら。」 |
いよいよ、ミラノも最終日。
少ししょっぱいミラノのパンとも今日でお別れです。
だから、話題のリストランテへ、ミラノ名物を食べに行ってきました。
サフランの黄色がきれいなリゾット・アラ・ミラネーゼは、
バターとパルミジャーノチーズが、くせになる味。
お米をつかったメニューなのに、
ミラノでは、これをおかずとして食べるんですって!
私の顔より大きいコトレッタ・アラ・ミラネーゼ。
あ、仔牛のカツレツのことです。
これは、ミラノ家庭料理の定番メニュー。
お肉をたたいてのばしているから、
日本のトンカツよりもずっとうすいんですよ。
あまりにもおいしくって、思わずイタリア人のように
「ヴォーノ!」って言っちゃった。
人差し指でほっぺたをグリグリしながら。
食後は、やっぱりエスプレッソ。
小さなカップからは、コーヒー豆のいい香り。
そこにたっぷりのお砂糖を入れて、
2、3 口で飲みほすのがイタリア流。
げほっ、げほっ。まだまだ私には、おとなの味……。
ミルクたっぷりのラテ・マキアートにすればよかったな。
こうしてテーブルの上を見てみると、
やっぱりミラノの食卓は、パリや日本とちがいます。
次のロサンゼルスでは、どんな名物があるのかな。
今から、楽しみになってきました!
〈イタリアングルメ講座〉
リストランテ → レストラン。
リゾット・アラ・ミラネーゼ → ミラノ風リゾット。
リゾットとは、ぞうすいです。
コトレッタ・アラ・ミラネーゼ → ミラノ風カツレツ。
エスプレッソ → デミタスカップと呼ばれる小さなカップで飲む、
とってもこいコーヒー。
イタリアでコーヒーといえばこれ。おとなの味。
カフェ・マキアート → エスプレッソに、少しのフォームドミルク
(蒸気で泡立てた牛乳)を注いだもの。
ややおとなの味。
ラテ・マキアート → こちらは、たっぷりのフォームドミルクに、
少しのエスプレッソを注いだもの。やさしい味。
ヴォーノ! → おいしい!
人差し指で自分のほっぺたをグリグリしながら、
ヴォーノ!と言ってね。
まだ興奮しています。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐(ばんさん)」という
とっても有名な絵が、
美術館ではなく、食堂の壁に直接描かれているって、知ってますか?
私はそれをたしかめるために、
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会のとなりにある
修道院(しゅうどういん)へ行ってみました。
この絵と対面した私は、
この瞬間、時間が止まったのかと思いました。
だって、キリストのまわりの12 人の人たちの表情と動作がドラマチックで、
映像を一時停止させたみたいだったから。
動いている瞬間を描いた絵に出会うのは、はじめてかもしれません。
それから、部屋に差し込んでくる太陽の光のせいでしょうか。
絵の中の部屋が、
私たちがいる部屋につづいているかのように見えます。
後ろに描かれている空も、絵の向こうに本当に広がっているみたい。
ここで食事をしていたシスターたちは、
どんなことを思いながら、この絵をながめていたのでしょうか。
教会をあとにした私は、この絵を思い出しながら
近くのカドルナ駅へ歩いていきました。
路面電車のトラムの窓から見るミラノの街は、いつもと変わりなく動いています。
世界遺産のある食堂で、止まったままの時間。
ただの絵のはずなのに、少し胸が苦しいです。
リカが描いた「最後の晩餐(ばんさん)」の絵。
まん中にいるのがイエス・キリスト様です。
ここは、モードの聖地ミラノ。
私もめいっぱいおしゃれして、朝からショッピングです!
写真はガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2 世という名前のアーケード街。
大きな門の向こうに、石づくりの建物がつづき、
今では世界のトップブランドが風景の一部になっています。
キラキラと日が差し込む高い天井と美しいモザイクを
ながめて歩いていたら、人にぶつかっちゃった。
大きなサングラスをかけたその女性は、
カチッとした黒のジャケットに白いパンツで
さっそうと歩いていて、とってもかっこいいの。
ミラネーゼのファッションは、
この風景によく似合うなって思いました。
ミラネーゼとは、ミラノの人という意味です。
歩いているうちに、
いつのまにかモンテナポレオーネ通りへ。
ここは、イタリアいちばんのブランドストリート。
石だたみのせまい通りには、おとなの女の人たちがあこがれる
ブランドショップがひしめきあっています!
フェラガモ、プラダ、ヴェルサーチ……。
ブランド品もまた、イタリアの美しい文化のひとつだと、
ママが言ってました。
通りを歩いている人たちがあんまりすてきなので、
写真をとらせてもらいました。本当に、ベリッシモ!(最高!)
ここで私は、日本人観光客とミラネーゼのちがいを発見しました。
ミラネーゼたちは、ショーウィンドーで値段をチェックしながら
ウィンドーショッピングを楽しんでいるのに、
日本人はすぐにお店に入って、
大きなバッグをかかえて出てくるの。
日本人って、お金持ちなの?
そうそう、ガレリアの床に描かれた牛をふみながら3回まわると
願い事がかなうんだって!
ショップを見学!
ここで、かわいいワンピースとカーディガンを発見!
パパが次の演奏旅行に出かけてしまい、
ミラノにひとりぼっちです。
考えてみれば、
このひとり旅には、いつもだれかがいてくれたような気がします。
おじいちゃんとおばあちゃんに、そして、パパ。
昨日まで、お日様にてらされて
明るく見えていたミラノの街並みも、
今日は、知らない人みたいに、冷たい気がします。
日本にいるママに国際電話をかけてみると、
ママのひとり旅のことを話してくれました。
ある時、さびしくて悲しくて泣いていたママは、
きれいな青い空を見上げて気づいたそうです。
この空は、会いたい人みんなとつながっていて、
この空の下にいるかぎり、私はみんなといっしょだって。
「だから、さびしくなったら空をごらんなさい」。
ママはそう言いました。
ママにも、さびしい時があったなんて……。
今、ミラノは、あかね色の空です。
パリもきっと、あかね色。
今ごろ、日本の空には、星がまたたいているのかな?
私もいつかママみたいになれたらいいな。
少し、元気がわいてきたような気がします。
オペラで聞いたバイオリンの音色が忘れられなくて、
パパにお願いして、バイオリンレッスンをはじめました。
バイオリンをかまえて、まずは深呼吸。
弓を動かしてみると、ドの音が出ました!
うれしくなってそのまま、レミファとつづけようとしたら、
レ、ミ、ギーって、音階になりません。
「リカ、もう一度!」
パパは音楽のことになると真剣で、とってもこわいんです。
あきらめずに、何度もドレミファソラシドの練習をしていたら、
パパが「きらきら星をひいてみよう」と言いました。
「ド、ド、ソ、ソ♪ラ、ラ、ソ♪ファ、ファ、ミ、ミ、レ、レ、ド……」
ゆっくり演奏するうちに、だんだんひけるようになると、
パパが「リカ、フランスの曲が1つ、ひけるようになったじゃないか!」
と、今日はじめて笑ってくれました。
パパに聞いたら、きらきら星はフランスのみんようで、
あの有名な作曲家のモーツァルトも、
このメロディーを使って曲をつくってるんですって!
しかも、パパにバイオリンでほめられるなんて、本当にうれしかったです。
これからも、いっぱい練習して、 いつかパパの指揮でバイオリンの名曲をかなでたいな。 |
今日はとびきりのおしゃれをして、
スカラ座にオペラを見に行きました。
だって、今日の演奏を指揮するのは、私のパパ。
公演前に待ち合わせしたスカラ広場に、パパは白のスーツであらわれました。
私はイタリア流に「チャオ!」とごあいさつ。
パパは「リカ、元気にしてたかい?」と、やさしく頭をなでてくれたの。
私はパパに「がんばってね!」と伝えて、会場に入りました。
静まりかえった場内に、流れだすオーケストラと歌声。
言葉はまったくわからないけれど、歌で人の気持ちがわかるなんて、はじめてです。
ソプラノ歌手のアリアは、
本当にかなしそうな声で胸がしめつけられました。
オペラは、言葉をこえて、心にとどくのかもしれません。
華やかなフィナーレがおわり、パパが指揮棒をおくと、
一瞬、静まりかえった場内は、
次の瞬間、拍手と「ブラーヴォ!」というたくさんの歓声につつまれました。
私も、立ち上がって「ブラーヴォ!最高!」とさけんだのよ。
指揮をするパパも、とってもすてき!
ママがパパのこと、好きになったのがわかるわ。
〈オペラ講座〉
オペラとは、オーケストラのばんそうにあわせて、
オペラ歌手が演技をしながら、せりふを歌ってすすむ、おしばい。
ミュージカルとはちがって、ダンスはほとんど踊らないのよ。
ひとりの役者だけで歌うことをソロ、
とくに聞かせどころになる曲をアリアというそうです。
今日のアリアも心がこもっていて、少し泣けちゃった。
オペラでは、演じる役が、声の高さでわけられているんですって。
〈さらに、オペラ歌手の呼び方も!〉
男のオペラ歌手 → 声が低い順にバス、バスバリトン、バリトン、テノール、
カウンターテノール
女のオペラ歌手 → 声が低い順にコントラルト、メゾソプラノ、ソプラノ
私の声は、どれになるのかな?
スカラ座の前で、パパに写真をとってもらいました。
リカのお気に入りの1枚です。
チャオ!ここイタリアは太陽の国!
早起きして出かけた青空市場の八百屋さんには、
赤いトマトや黄色のパプリカ、白いカリフラワーに緑のズッキーニと、
元気いっぱいのイタリアンカラーがあふれていました。
このメルカート(市場)は月曜日と木曜日の週2回、
ピエトロ・カルヴィ通りで開かれています。
まん中の写真の、お花みたいな野菜は
アーティチョークといって、つぼみを食べるんですって。
ほかにも、サラダで食べるアンディーブやコールラビといった、
日本にはない野菜がいっぱいです。
ミラノのメルカートは食料品のほかに、
お洋服や下着、クツ、アクセサリー、日用雑貨まで、なんでもそろいます。
絵まで売っているメルカートもあるんだって。
歩いていると、バーゲン会場のように行列のできているお店がありました。
試着していたら1日がおわりそうな数のクツが並んでいます。
イタリア生まれのSalvatore Ferragamo(サルヴァトーレ・フェラガモ)や
PRADA(プラダ)など、高級ブランドがいっぱい!
でも、もしかして、ニセモノ……?
私はお店の人に値段をきいてびっくり。150ユーロでした。
本物だったなんて……。
ミ・スクーズィ!とあやまって、
そのまま逃げるように走りさった私です。
〈今日はイタリア語を覚えちゃいました!〉
メルカート → 市場
ポモドーロ → トマト
スカルペ → クツ
ボンジョルノ → おはよう、こんにちは
チャオ → やあ
グラーツィエ → ありがとう
クァント コスタ? → いくらですか?
スクーズィ → ごめんね
ミ・スクーズィ → すみません(ごめんねのていねいな言い方)
ボナ・ジョルナータ → よい1日を
見たことのない野菜がたくさんありました。
これがアーティチョークです。
すてきなクツの山!おとなになったらハイヒールをはきたいな。
ミラノの街を歩いていると、壁のらくがきをたくさん見かけました。
赤いポストにも、緑のゴミ箱にも、電車にも。
ガルバルディー地区やソラーリ地区は、とくに多い地域。
らくがきといっても、ただのらくがきではないのです。
グラフィティという、アートなんだって。
今活躍しているデザイナーが有名になる前に描いたものが
たくさんあるそうです。
今日は、知る人ぞ知るミラノの観光ポイントである
記念墓地に行った帰り道、
ジョバンニ・バッティスタ・ニッコリーニ通り
(長い名前!)で、壁一面にびっしりと
描かれているのをみつけました。
牛や馬、犬に小鳥、お姫様……と、
ひとつひとつがカラフルで、とっても自由。
まるで青空の下のギャラリーにやってきたみたい!
でもこのグラフィティアート、
地元の人にとっては、あまり喜ばれていないそうです。
たしかに、自分が生まれ育った街に
いくら芸術とはいえ、かってに絵を描かれたら
いい気持ちはしないかもしれません。
芸術か。らくがきか。うーん、ふくざつです。
リカのお気に入りのグラフィティアート。
お姫様がかわいいでしょ?
いよいよ、イタリアのミラノに着きました。
ここでは、パパの指揮するオペラを見に行く予定もあって、
とっても楽しみです!
ミラノは、どんな街なんだろう?
これから、どんな人に出会えるのかな?
さっそく私は、旅の幸運をおいのりするため、
ミラノ市内の中心にそびえたつドゥオーモという大きな教会へ行きました。
中へ入ってみると、
天井の高いうす暗い空間に、
大きな祭壇(さいだん)とステンドグラスが見えてきます。
その一枚一枚に聖書の物語が描かれ、
天井までとどきそうな一枚の窓に、はめ込まれていました。
ときどき、おごそかに、鐘の音がひびきます。
巨大な空間の中を祭壇(さいだん)の方へ歩いていくと、
自分が少しずつ小さくなっていくみたいな感覚がしてきます。
そのとき、私は、
ロウソクのあかりの中で、白い手で十字をきり、
ただただ、いのっている女の人を見つけました。
フードをかぶっていたので
顔はよく見えなかったけれど、泣いていたのだと思います。
私はおどろいて、彼女を見つめることしかできませんでした。
外に出てふりかえると、
ドゥオーモのてっぺんには、
キリスト教の聖母マリア様が金色にかがやいていました。
マリア様、どうか私の旅を見守っていてください。