いよいよ、イタリアのミラノに着きました。
ここでは、パパの指揮するオペラを見に行く予定もあって、
とっても楽しみです!
ミラノは、どんな街なんだろう?
これから、どんな人に出会えるのかな?
さっそく私は、旅の幸運をおいのりするため、
ミラノ市内の中心にそびえたつドゥオーモという大きな教会へ行きました。
中へ入ってみると、
天井の高いうす暗い空間に、
大きな祭壇(さいだん)とステンドグラスが見えてきます。
その一枚一枚に聖書の物語が描かれ、
天井までとどきそうな一枚の窓に、はめ込まれていました。
ときどき、おごそかに、鐘の音がひびきます。
巨大な空間の中を祭壇(さいだん)の方へ歩いていくと、
自分が少しずつ小さくなっていくみたいな感覚がしてきます。
そのとき、私は、
ロウソクのあかりの中で、白い手で十字をきり、
ただただ、いのっている女の人を見つけました。
フードをかぶっていたので
顔はよく見えなかったけれど、泣いていたのだと思います。
私はおどろいて、彼女を見つめることしかできませんでした。
外に出てふりかえると、
ドゥオーモのてっぺんには、
キリスト教の聖母マリア様が金色にかがやいていました。
マリア様、どうか私の旅を見守っていてください。