バネのようにしなやかなモラン(マサイの戦士)のからだ。
なんて力強く美しいダンス!
声は、低く、高く、次々とかさなりあい、ふしぎな楽器のようです。
よく見ると、コーラスのまん中で、カニンケくんがソロをうたっています。
「カニンケ!」と声をかけると、少しこちらを見てから、
一歩前にでて、ぴょーんぴょーんと、ジャンプをはじめました。
「ジョイナス!(いっしょに楽しもう!)」
そう言われて、私もぴょーんぴょーんと、とんでみたの!
でも、カニンケくんみたいにとべない!
だって、カニンケくんは、私の腰の高さまでとび上がるんだもん。
すると、まわりにいたほかのモランもぴょーんぴょーんと
軽々と、とび上がりました。
なんだか、ニューヨークのクラブで体験した
こうふんがもどってきたみたい!
するとカニンケくんが「明日、ぼくの牛を見に来ない?」とさそってくれました。
そして、「ニメクノキ」ってささやいたの。
帰りぎわ、カニンケくんに「ニメクノキってなに?」って聞いたら、
はずかしそうに「キドゥア!(また会いましょう!)」と
マサイの言葉で言われました。
ニメクノキ?
木の名前?なんだろう???
〈マサイのダンス〉
ぴょーんぴょーんと、その場でとびはねるマサイのダンスは、
おとなになるための儀式(ぎしき)で踊るものなんだって。
昔は、ライオン狩りも儀式(ぎしき)のひとつにあって、
命を落とすモラン(マサイの戦士)もいたんだって。
マサイにとって、おとなになるって、命がけなんだ。
カニンケくんの笑顔からは、そんなことは全然感じられませんでした。
ジャンプの高さを競ったよ!でもやっぱり負けちゃいました……。
「リカももっととんでごらんよ!」と、笑顔で腰の高さまでジャンプ!!