目の前のテーブルに並べられたのは、ままごとで使うような
小さなきゅうすと湯飲みたち。
今日は、上海(シャンハイ)に古くからあるお茶のお店に行ってきたのです。
店員さんは、私がたのんだ龍井茶(ロンジンチャ)を
伝統的な作法でていねいにいれてくれました。
目をとじると、
すずめが鳴くような、かすかにひびくお茶わんがふれあう音、
きゅうすをつたうお湯の音も、すずしく聞こえてきました。
「香りを楽しんでくださいね」。
そう言ってそっと置かれた湯飲みのふたを開けてみると、
ふわっとやさしいお茶の香り。
すみきった色のお茶を手に、
「お好きなだけどうぞ」と言われたおかしを口にして、
ゆったりすぎていく上海の昼下がり。
いつもエネルギッシュな上海で、
ここだけぽっかりとちがう時間が流れているようです。
私がお茶をいただいた、
湖心亭(フーシンティン)にて。
〈湖心亭(フーシンティン)とは〉
池の中心に建つ、屋根のそり返った明(みん)の時代の建物。
ここが、約140年の歴史をもつ、上海でいちばん古い茶館です。
おかしは“小さなお皿にちょっとずつ”
“何種類も好きなだけ”が、中国スタイル。
お茶とおかしがあれば、何時間でもすごせます。
〈中国茶について〉
中国茶といえばウーロン茶くらいしか知りませんでしたが、
本場中国では、大きく7種類に分けられるそうです。
○緑茶(リュウチャ)・・・・・・中国でもっとも飲まれているお茶。
代表は、龍井茶(ロンジンチャ)。
日本の緑茶に近い風味です。
○白茶(パイチャ)・・・・・・白いうぶ毛の生えた新芽のみを用いて作られる高級茶。
ほんのり甘く、上品な味わい。
中国歴代の皇帝が好んで飲んだとか。
○黄茶(ファンチャ)・・・・・・中国茶の中で、もっとも貴重なお茶。
清(しん)の皇帝が飲んでいた
君山銀針(ジュンシャンインジェン)が有名です。
○青茶(チンチャ)・・・・・・半はっこう茶。なんと、その数100種類以上。
日本でおなじみのウーロン茶も青茶です。
○紅茶(ホンチャ)・・・・・・完全はっこう茶。日本でもおなじみの紅茶は、
じつは中国が発祥の地。中国の紅茶は、苦味がなく、
すっきりした味わい。
○黒茶(ヘイチャ)・・・・・・食事とともに、いただくお茶。プーアル茶が代表で、
あぶらっこい食事と合います。
○花茶(ファチャ)・・・・・・花を使ったお茶のことで、代表はジャスミン茶。
はなやかな香りで、とってもやすらぎます。
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すっきりした龍井茶(ロンジンチャ)とおかしたち。