しーんとした静けさにつつまれる
木立にかこまれた境内(けいだい)を歩き、お堂の中へ。
一歩足をふみいれると、天井いっぱいに描かれた
大迫力の「蟠龍図(ばんりゅうず)」。
お寺の方が「この場所に立って手をたたいてください」と、
ひとりひとりを案内してくれています。
私の前のおじさんとおばさんが、ふたりいっしょに手をたたこうとすると、
「おひとりずつどうぞ。少しでも位置がズレると、
もう聞こえないんですよ」と、言ったのです。
そして、いよいよ私の番。
天井を見上げて、手をあわせて、パン、パン、パン。
すると、なぜかふしぎな音が返ってきました。
カラカラカラカラ、カラカラカラカラ・・・・・・。
鈴をころがしたように、音が何重にもかさなりあってひびきます。
なのに、すぐとなりに立っているお寺の方から、
「ちゃんと聞こえましたか?」と確認されました。
つまり、となりに立っている人には、もう聞こえないのです。
なんて、ふしぎな絵なんだろう!
この龍は、およそ400年も前に描かれたもの。
日本でいちばん古いこのお堂は、龍にずっと守られていたんですね。
〈龍の絵のふしぎ〉
龍の下で手をたたくと、天井に反響して
やまびこのようにカラカラと音が返ってくることから、
別名「鳴き龍(りゅう)」とも呼ばれています。
手をたたく人によって音が変わり、高い音、低い音、
力強い音、やさしい音・・・・・・と個性があるそうです。
この天井絵は、足利義満(あしかがよしみつ)という室町時代の将軍様が
建てた「相国寺」(しょうこくじ)で見られます。
![写真](http://www.drill-inc.jp/tabiblog/images/photo/071006-3.jpg)
相国寺の「空中の間」にて。
![写真](http://www.drill-inc.jp/tabiblog/images/photo/071006-4.jpg)
こんなところにゾウさんの絵が!
昔の人はゾウを見たことがなかったので、これは想像して描いたんだって!