「ないしょだよ」。
ホストファザーのロバートさんとホストマザーのヘレンさんのいない間に、
こっそり言ったジェシカちゃん。
スクールバッグから、さっとドラムスティックを取りだして、
ドラムセットの前にすわると、
大きく息を吸いこんで、いっきに手をふり下ろしました。
ジャーーーーーン!!!!
まずひびいたのは、シンバルの大きな音。
それから、ドンッ!ドンッ!ドンッ!とおなかまでひびく太い音がなり、
その間に、はさみこむように軽快なリズムがきざまれていきます。
さっきまでしずかにリビングルームにたたずんでいたドラムセットは、
今ではジェシカちゃんのスティックで、息をふきかえしたように動き出し、
それにつれて夢中になったジェシカちゃんのほほも赤くそまっていきました。
ジェシカちゃんのスティックは、まるで魔法のつえです。
ドラムセットが生きているみたいにリズムをきざみだすんだもん!
そして、私の心にも、リズムの種をまいた気がしました。
演奏が終わると、ジェシカちゃんが
「明日、マリアもさそって楽器屋さんに行かない?」と言ってくれたの。
クラシック以外の楽器屋さんに行くなんてはじめて!
どんな楽器があるのかな!
〈“ドラムセット”ってなに?〉
ドラムセットは、いろんな大きさのドラムやシンバルなどの打楽器(だがっき)を、
ひとりでたたけるようにしたものなんだって。
ドラムを演奏する人をドラマーとか、ドラムスって呼ぶそうよ。
ドラマーの好みで、ドラムセットに組み込まれる打楽器の種類が変わるみたい。
ここでは、ジェシカちゃんが教えてくれたドラムセットを紹介するね!
(1)バスドラム・・・・・・演奏者の“きき足”の床に横だおしにおかれる大だいこ。
ペダルをキックすると、おなかにひびくような太い音が出るのよ。
(2)フロアタム・・・・・・床に直接おくので“フロア(床)・タム”と呼ばれる
胴の長いたいこ。演奏者が右ききなら、右側に置かれるんだって。
(3)スネアドラム・・・・・・演奏する人のひざの高さにあわせて、専用スタンドでおく
小さなたいこ。うらにスネアと呼ばれる金属の線がはられていて、
砂つぶをころがすような、よいんのある音がします。
(4)タム(トムトム)・・・・・・バスドラムの上に、ふたつ並んだたいこ。
大きいものと小さいものを並べて、音をわけるんだって。
人によって、タムが10個以上並ぶときもあるとか!?
(5)ハイハットシンバル・・・・・・2枚重ねのシンバル。
足でペダルをふんで2つのシンバルを開けたり閉めたりしながら音を出したり、
ドラムスティックでたたいたりして、リズムをきざみます。
(6)シンバル・・・・・・左右のシンバルは同じように見えて、
実はいろんな種類があるみたい。
思いきりたたくとジャーンッ!!!と、とってもハデな音がします。
○ドラムスティック・・・・・・スティックといわれる“ばち”でドラムをたたきます。
木製が一般的ですが、アルミ製、プラスチック製、ファイバー製もあるそうよ。