「ちがう!」
スタジオで、昨日の夜に書いた詩をジェシカちゃんに見せた時に言われた言葉です。
「え?ちがうって?」と聞いても、「ちがう」としか言わないジェシカちゃん。
腹が立って、「これが私の旅なの!」と言いました。
するとジェシカちゃんが「これは誰にでも書ける詩でしょ?」と一言。
「ねえ、リカ。リカはどうして今まで旅を続けてきたの?
世界中を旅して、何を見たの?どんな人に出会ったの?どんなことを感じたの?
私は、リカにしか書けない詩があるはずだと思う。
それは、きっと、リカにしか歌えない歌なんだよ」。
私はドキッとして、スタジオの外に飛び出してしまいました。
スタジオを出て見上げたロンドンの空。
そう、これが、きりがかかったロンドンの空。
ビルにかこまれた小さな空も、地平線まで見える大きな空も見た。
私のほほには、乾いた風も湿った風も吹いた。
街のにおいや音だって、ちがった。
そこに暮らす人たちと、いろんな話もした。
日本では気づかなかった、いろんなことに気づいたり、
それまで考えなかった、いろんなことを考えたりもした。
この思いを、一行、また一行と書いて、詩にすればいい。
でも、何から書けばいいのかわからない!
いろんな思いがあふれて、まとめることなんてできない!
書きたいことはたくさんあるのに、書けないよ!
〈ジェシカちゃんにボツにされた歌詞〉
♪ドリーミン ジャーニー
作詞 香山リカ
ドキドキ ソワソワ はじめての
ワクワク ルンルン ひとり旅
今日はパリで 明日はミラノ
次は どこに 行こうかな
風の向くまま 気の向くまま
私はリカ フローム ジャパン
ドキドキ ソワソワ はじめての
ワクワク ルンルン ひとり旅
まぶしいロスと まばゆいニューヨーク
海まで きらきら ハワイかな
光の向くまま 気の向くまま
私はリカ フローム ジャパン
ドキドキ ソワソワ はじめての
ワクワク ルンルン ひとり旅
いきなりケニアで いきなりシャンハイ
ママに 言われて ひとり旅
飛行機の向くまま 気の向くまま
私はリカ フローム ジャパン
風の向くまま 気の向くまま
世界中の どこでも行くよ
私はリカ フローム ジャパン