美術館の入り口を入ってすぐ。
1階から7階までの巨大な吹き抜け空間に、びっくりしてしまいました。
この吹き抜けこそ、「タービン・ホール」と呼ばれる、この美術館の目玉。
もともと発電所だったという、高さと奥ゆきのある空間をうまく活かして、
作品を展示しているのです。
今日、私たちが授業で見学したのは、“みぞ(溝)”。
奥ゆき167メートルの「タービン・ホール」のコンクリートの床に
“みぞ”ができていました。
みぞは、髪の毛の細さから、だんだん太く、深くなり、
床をジグザグにはっています。
私たちも手をつないで、ジグザグに歩いてみました。
もっとも太く、深くなったみぞのあたりには美術館のスタッフがいて、
見学者が足をふみはずして落ちないように声をかけています。
このみぞは、“国境(こっきょう)”や
“人種差別(じんしゅさべつ)”などを表現しているんだって。
私はちょっぴり悲しくなってしまいましたが、
来年4月に“みぞ”をうめることで、この作品の展示が終了すると聞いて、
なんてすばらしいんだろう!と感動してしまいました。
これは、絵画やちょうこくといった作品の枠をこえて、
空間全体を作品として体験させる「インスタレーション」という
アートなんだそうです。
先生が「つまり、その場所でしか生まれないものなのです」と、教えてくれました。
私の頭の中に「!」が浮かびました。
私たちの音楽も、この場所でしかできないんだ!
私は“みぞ”にヒントをもらって、いろんな街で見上げた“空”を題材に
詩を書いてみよう、そう思いました。
〈今日行った美術館は?〉
テムズ川をはさんで、セント・ポール大聖堂と
向き合うようにそびえ立つ煙突(えんとつ)とレンガのかたまり。
これが2000年にオープンして、たちまちロンドンの新名所になった
現代美術館「テート・モダン」です。
もともと発電所だった建物を改造したんだとか。
タービン・ホールの空間全体を使った巨大な展示は大人気で、
これまでも55メートルのすべり台、氷河のかたまり、沈まない太陽などが展示され、
現代アートでもっとも注目される空間になっているそうです。
アートを体験するって楽しい!