放課後、プリムローズヒル。
制服のまま、しばふにこしかけて、
昨日できあがったばかりの“sola(そら)”のアレンジを考えていました。
ベースの手をとめたマリアちゃんが、
「私たちって、生まれた国も場所もちがうのに、
こうしていっしょに歌っているなんて、とってもふしぎ」と言いました。
するとジェシカちゃんは
「そうだね、リカが私の家にホームステイしなかったら、
マリアとも会えなかったわけだし。すごいね」と空を見上げます。
きせきのようなぐうぜんが重なって、つながって、輪になって、
生まれた私たちの歌。
つい私は「ドーナッツのわっかみたい」と言っていました。
すると、ジェシカちゃんが立ち上がって「それだよ!」と大きな声をあげました。
私とマリアちゃんがきょとんとしていると、
「私たちはガールズバンド“ドーナッツ”!」とジェシカちゃん。
マリアちゃんは、ふふふと笑っています。
私は、あはは、と笑いました。
「私たちはガールズバンド“ドーナッツ”!」
3人で立ち上がって、大きな声でさけびました。
プリムローズヒルから見下ろすロンドンの街並み。
きせきのような私たち3人。
手をつなぎあうと、夕暮れの丘に3人でつくった新しいドーナッツが生まれました。