「え?リカちゃん、ベリー味、たのまないの?」
アイスクリーム屋さんでのマリアちゃんの一言。
マリアちゃんは、さっきチョコレート味をたのんでいて、
ペロリとなめるのが見えました。
おいうちをかけるようにジェシカちゃんが
「えー!リカがたのむと思ったから、たのまなかったのにー!」と
クッキーアンドクリームをほおばります。
私は、しょうがないなーと、ベリー味をたのんでしまいました。
放課後。
いつものようにチェックのミニスカートをゆらして、
ロンドンの街を歩く私たち。
アイスクリーム屋さんによったり、カフェに行ったり、
レコード屋さんに行ったり、楽器屋さんに行ったり。
毎日、やりたいことがいっぱいあって大いそがしです。
私たちはかんたんなことでけんかもするけれど、
(それこそ選んだアイスクリームの味なんかで)
それは、私たちがずっと友達だってわかっているから。
おとずれた頃、まだ秋の風がふいていたロンドンの街にも、
冬の風がふき始めました。
いっしょにひとつの季節を過ごした友達。
ずっと、ずっと、このままの時間が流れたらいいのにな。